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■女性向け恋愛シムについて思うこと  

数年前は、女性がゲームをすると言っただけで、ものめずらしく見られたこともありました。
ゲームショップにはいると、男性のお客さんがなぜだか決まり悪そうに、そそくさとその場を去っていった経験も、優鈴にはあります。
ゲームは男性のもの……そんな考えは、今はもう昔のものになりつつあります。その足がかりを作ったのは、なんといっても「女性向け恋愛シム」というゲームジャンルの確立ではなかったでしょうか。今回は、既に1ジャンルとして存在している「女性向け恋愛シム」について、ちょっと思うことなどをつづってみたいと思います。

おそらく、大多数の方が「女性向け恋愛シム(恋愛シミュレーションゲーム)」という言葉と同時に「アンジェリーク」というゲームを思い出すのではないでしょうか?
1994年9月にスーパーファミコン版で発売された「アンジェリーク」。当時は決して人気のあるゲームではありませんでした。ですが、CDドラマの発売を経て、口コミで徐々に広まった人気は、1996年3月のプレイステーション版、セガサターン版「アンジェリークSpecial」発売の頃から、大きく盛り上がります。人気声優の起用、アニメーションの導入でロマンチック度を増したSpecialは、一度プレイしたら抜けられない不思議なゲームとして、次々に口コミでファンを増やしていきました。
こうして、驚異的に女性ゲームファンを虜にしたこのゲームは、業界にも女性ゲームファンの存在を強烈に印象づけ、「女性向け恋愛シム」というジャンルを確立していったのです。
今でも、「アンジェリークシリーズ」を超えるほどの人気を博すゲームは、現れていないのが現状ではないかと、私は思います。

ところで、この「女性向け恋愛シム」とはいったい、何なのでしょう?
私の中では「女性ユーザーをターゲットにした、恋愛をシミュレートするゲーム」と、真っ直ぐにとらえています。
つまり、女性主人公が、男性キャラと恋愛を疑似体験するもの。
でも、広義に捕らえれば俗に言う「ボーイズラブゲーム」も、これに入れて良いと思います。


タイトルをあげるなら、先に出たアンジェリーク、他にファンタスティックフォーチュン、遙かなる時空の中で、アルバレアの乙女、卒業Mなどなど…となります。
(今回は「女性向け」と銘打ってますので、「男性でも女性でも出来る恋愛シム」は対象外です)
それぞれに特徴があるので、ひとくくりにするのはちょっと難しいのですが、これらのゲームについて思うことを、お聞きしてみました。

「個人的には、女性向け恋愛ゲームというジャンルには、あまり興味を惹かれません。
 ジャンルそのものを否定はしないのですが、何だか「女性ゲーマーはアクションが下手で、常に美少年とラブラブしたがっている」という偏見が根底にあるみたいで、ちょっと抵抗を覚えるんです。
 もし「女性向けゲーム」を作る上で「とりあえず美形男性キャラをたくさん出して、ぬるいゲームシステムで甘い言葉を囁かせとけばいい」と思われているのだとしたら、自分たちはずいぶん見くびられているんだな、とさえ感じてしまうんです。
 もちろん自分にも「好きな男性キャラ」とかがいないわけではないんですが、それもどっちかというと普通の(非恋愛系)RPGや対戦格ゲーのキャラの方が多いです。誰かを守るために、あるいは夢とか希望とか理想を抱いて、苦楽を共にして戦ってきた「仲間」の方に愛着を覚えるのかもしれない。例えるなら「女の子に好かれようと必死にナンパしてくる男」より「浮いた話には見向きもせず、ストイックなまでにスポーツや何かに打ち込む男性」の方に惹かれるタイプなのかも(笑)。
 あと余談ですが、自分は異性(男性)キャラと同時に同性(女性)キャラに対しても魅力を求める性質で、「理想の生き方を体現してくれる、強く、りりしく、心根の優しい女性キャラ」というにのも惹かれたりします(レズじゃないぞっ)。男に媚びる事しかしないカマトトぶりっこなヒロインや、ヒロイン(プレイヤーの分身)以外の女性キャラを極端に意地悪に描いて貶めるような作品は(女性向け恋愛ゲームに限らず、漫画とか小説とかでも)嫌いです。
 もっとも、自分はスーファミ時代からのメガテニストで、ホラーやサイバーパンクも全然オッケーの人間なんで、こういう考え方の方が少数派なのかもしれませんが(とほ)。(佐倉めいる様より)」

「私自身は、女性向け恋愛シミュレーションからゲームに入ったのではないので、ポジションとしては、いわゆるギャルゲーと呼ばれる男性向け恋愛シミュレーションと同じところに位置付けています。
ただし、ゲームを愛するものとして、女性ユーザー獲得の間口になったジャンルであり、特に女性が苦手とするシミュレーションの世界を広げた意義は大きく、感謝と敬意の気持ちは他のジャンルより強く持っています。
大分数の増えた女性ユーザーですが、未だ男性の半数にはほど遠い現状ですので、もう少し頑張って牽引をお願いしたいところです。
同時に、男性に比べるとコアユーザーとライトユーザーの差が激しいので、これからの新しい作品は難しいだろうなぁと勝手に心配している部分もあります。
多くの女性ユーザーが、ゲーム性よりも、キャラクターの魅力、キャスティング、シチュエーション、グラフィックのクオリティ等を重視していることは理解しています。でも、そちらにばかりウエイトを置いてしまうと、全く新しく画期的な恋愛シミュレーションは出てこないような気もするのです。
女性ユーザーの数が増えれば、それだけ好みの幅も広がるでしょう。そうしたら、様々なタイプの作品が受け入れられる土壌になっていくのではないかと思われます。難易度の調整も、そろそろ簡単=女性向けではなく、初心者からゲーマーまで対応したバランスの取り方が求められていくのではないでしょうか。
まだ女性向け恋愛シミュレーションは発展途上の、これからのジャンルかと思います。全面的な称賛ではなく、また一方的な批判や文句でもなく、もっともっとユーザー側もメーカーを応援し意見出来るように、これからのことを考えてやっていきたいと、自分では考えています。(宿許はるか様より)」

お二人ともどちらかと言えば、ゲームに関してはヘビーユーザーなので、ライトユーザーの方の意見とは、かなり異なるとは思いますが、私も頷く部分が多いです。

以下は優鈴個人の意見です。
私は、女性向け恋愛シムには、高度なグラフィック(3Dぐるぐる〜とか(笑))も、高度な戦略性も無くてもいいと思います。
今、私が女性向け恋愛シムに求める基本は、リアリティではなく、どれだけロマンチックに快適に、夢の世界を楽しめるか、ということなのです。
それにはもちろん、ストレスのないゲームシステム、美麗なグラフィック(決して高度なCGではなく、綺麗な2Dの止め絵だっていいんです)、ロマンチックな世界観に、甘いセリフ……これらのものが、必須になることはおわかりいただけると思います。
これを8割方網羅していたアンジェリークが、今までで最高のヒットを飛ばしたのが、何よりわかりやすい証拠でしょう。

ですが、佐倉さんも、宿許さんもおっしゃっているように、女性向け=ライトユーザー向けという概念からは、そろそろ脱出しても良いんじゃないかと、私も思います。
どんな風にやっても、簡単にエンディングが見られる…それは、とっつきやすくて良いのかも知れませんが、もっと深くつっこんだ遊び方が出来るものも、あってほしいと思うんです。
ライトユーザーはライトユーザーなりに、ヘビーユーザーはヘビーユーザーなりに、楽しめるものが欲しいな、と。

ずばり言ってしまえば、「女性向け恋愛シミュレーション」という立場をとっていても、そのベースがアドベンチャーだって、RPGだって、戦略シミュレーションだって構わないと思うんです。登場キャラクターと恋愛を疑似体験できるRPGとか、アドベンチャーとか、楽しそうだと思いませんか?そして、そういう作りになれば、突っ込んだ遊び方にも、さらりと流す遊び方にも、対応しやすいような気がします。
「恋愛シム=育成」で在る必要は、はたしてあるのでしょうか?

それを提示してくれたのが、「アンジェリーク 天空の鎮魂歌」であり「ファンタスティックフォーチュン」、そして「遙かなる時空の中で」だと思うんです。
「アンジェリーク 天空の鎮魂歌」は、すでにファンを集めているキャラクタたちと一緒にRPGで冒険できる…というのが売りでしたが、しっかりとしたストーリーを背景に持って、冒険を進めながら育まれる恋愛は、とても心に迫るものがあり、共感できました。
「ファンタスティックフォーチュン」は、基本は育成の形を取りながらも、裏に大きなストーリーが流れているという、育成+アドベンチャー的な作りで、キャラクタの魅力を、大きく引き出していました。
そして、アンジェリークを作った製作チーム「ルビーパーティー」の、新たな女性向けゲームと言うことで話題を呼んだ「遙かなる時空の中で」。これも、ベースをアドベンチャーにした恋愛シムになっています。こちらも、徐々に人気が上がってきているところですね。

同じ作業の繰り返しになりがちな「育成要素」を排除して、ただ純粋にゲーム世界を楽しめるものが欲しいと、私は強く思うんです。
戦略性を持たせるのなら、キャラとの恋愛の駆け引きにするか、もしくは、ストーリーを進める上で、で良いのではないでしょうか。

これからの「女性向け恋愛シム」の流れが、徐々にストーリー重視にシフトしてきたような気がしますし、これから確実にそのような方向に流れていくと、感じています。

格好いいキャラを登場させて、ゲーム性は甘く、人気声優を起用しておけば、女性ゲーマーなんて満足しているだろう……そんな考えは大きな間違いです。
そして、同じ様な作りのゲームを何本作っても、結局どんぐりの背比べになってしまいます。

どんな特色を持っているのか、他の女性向け恋愛シムと何処が違うのか。
何処なら負けないと、自信をもっているのか。
そんな「きらりと光るもの」が無ければ、私たちは飛びついたりはしません。

女性向けゲームは「口コミ」の世界です。
それゆえ、見た目やイメージよりも、ゲームの内容そのものを、非常にシビアに捕らえます。だって、自分がやって「これは楽しい!」と思ったものしか、他人に勧めたりはしませんから。その代わり、そうして広まったものは、みんなに「お薦め!」と言わせるほどの、パワーを持った作品だと言うことです。
なにしろ私の経験上も「これは楽しいから、やるべし!」とお薦めされたもので、はずれた試しがないですから、ね。

ただ、忘れないで欲しいのは、繰り返しになりますが、恋愛シムというのは、夢の世界なんです。
どれだけロマンチックに、現実とは離れた恋愛が体験できるか。
どれだけ、その世界に入り込めるか。
それには、快適なゲームシステム、しっかりとした世界観、そしてシナリオ、クオリティの高いグラフィック、そしてロマンチックなセリフ……と、いったものが必ず必要になります。
正直、今までの恋愛シムには、多かれ少なかれ、「ちょっと…これは…」といった、幻滅する要素がありました。それを極力無くすことも、その世界にどっぷりと浸るためには、とても重要なことだと思います。
#……リアリティのある恋愛なら、現実で十分出来ますからね(^-^;

2000.4.27

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